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bodhimandala
【仏説阿弥陀経】
解説(おもいこみ)
浄土真宗
運行寺 菅原 侍

■仏(ぶつ)
我々衆生を正しい方向に導いてくださる御縁が「仏」ではないでしょうか。阿弥陀も仏、釈迦も仏、そしてご先祖も仏。仏のご縁で私たちがお経(教え)に出会うのです。一般に「ほとけ」とも読まれますが、「ほとけ」の「け」は「化なるもの」「とりつかれたもの」を表わしています。「もののけ」の「け」でもあります。つい今まで大切な家族だった方が亡くなった途端にとりつく「化なるもの」として祀ってきたのが古来の葬儀式で意味です。御先祖が祟ったり、罰(バチ)をあたえる存在として考えられたのも、この「ケ」の文化です。御先祖は私たちに命の尊さに目覚めさせていただく尊い如来であり、仏(ぶつ)であることを忘れてはいけません。
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■阿弥陀
a-mita の音訳。「a」は後ろにつく形容詞を否定する助詞。「mita 」は「限りある」という形容詞。「amita」は「限りがあることがない(無限)」という意味になります。阿弥陀仏は無限なる仏。しかし阿弥陀仏なる仏体が存在したのではなく、すべての現象を司っている力や光を総称して「阿弥陀」と言っている。阿弥陀仏はその視覚的に存在しない光や力が敢えて人間の姿をして現れてくださったもの。本来形をもたない「教え(方便)」が形(相)をもったものであるから「有相方便」ともいいます。御本尊の裏には「方便法身尊形」と示してあります。「嘘も方便」はこの「有相方便」が誤解して使われたものです。
□余談
阿弥陀さまの後光(ごこう)は阿弥陀様からではなく阿弥陀様が乗られている蓮台から出ています。また、その後光は少し斜めに阿弥陀様に被さっています。ここから帽子を斜めにかぶることを「阿弥陀かぶり」と言います。また、後光が四方八方に広がっています。ここから「阿弥陀くじ」という言い方が始まりました。
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■経
"縦の糸の意。地球の北と南を結ぶ線を「経線」。古代中国の機織り機の縦糸も「経(ケイ)」と言いました。私が生活上よりどころとすべき縦の糸の意味。縦糸(経)が緩んでいたら横の糸を重ねて反物を編み上げることはできません。私たちが毎日の生活を営むための拠り所としているものが「お経」なのです。

「縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布は いつか誰かの傷を かばうかもしれない 」(中島みゆき 糸 より)

「蜘蛛の糸」(芥川龍之介著)
罪人のガンダタが地獄の池でもがいているところを、生前行った、たった一つの善行を認め、お釈迦様は蜘蛛の糸(お経)をお浄土から垂らしてガンダタをお救いになろうとなさいました。しかしその蜘蛛の糸を自分だけのものにしようとした浅ましい心が糸を切ってしまいます。"
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■姚秦(ようしん)
現在の西安の北。旧長安付近。「かの都、長安にトシシュウという若者がおりました・・・」ご存知ですか?このお話。
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■三蔵法師
経(おしえ)・律(生活規範)・論(注釈)の三つに関して知恵の深い僧侶の位の名前。ちなみに「西遊記」で有名な玄奘(げんじょう)も三蔵法師のお一人。
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■鳩摩羅什(クマラジュウ)
中央アジア、キジ国生まれ。長安に住み、仏典翻訳の偉業を成す。
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■舎利弗(シャリホ)
弟子の中で一番の智慧があり、先輩格だから長老と呼ばれる。王舎城外に住むバラモンの子。六師外道の一人サンジャヤの弟子となったが、親友摩訶目けん連を誘ってサンジャヤの弟子250人とともに仏陀に帰依した。仏陀より先に入滅。
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■摩訶目けん連(マカモッケンレン)
神通第一「盂蘭盆経」によると、雨安居の終わった7月15日に、衆僧に供養して餓鬼道に苦しむ母を救った。執杖梵志の怨みをうけて悲惨な最期をとげる。
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■摩訶迦葉(マカカショウ)
頭陀第一。頭陀とは衣食住の執着を取り去り修行すること。「頭陀袋」。
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■摩訶迦旃延(マカカセンネン)
論議第一。
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■摩訶倶稀羅(マカクチラ)
舎利佛の外伯父。問答第一。はじめ外道の出家となり、一切の学成るまで爪を切るまいとの誓いを守る事十数年、なずけて長爪梵志と呼んだ。
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■離姿多(リハダ)
舎利佛の末弟。小欲知足の修行者
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■周利槃陀迦(シュリハンダカ)
周利槃陀迦は自分の名前すら覚えることのできない暗愚な者でした。自分の名前を人に教えることもできず、周りの者から「自分の名前を札に書いて首からぶら下げろ」と言われていました。物覚えの悪い周利槃陀迦は自分の名を首から荷(が)して歩きます。物覚えの悪いことと、名をぶら下げる(荷)ことが混じり合って、「物忘れが激しいから、名前すら荷してあるく」が、「茗荷を食べると物忘れする」に変化しました。茗荷は濡れ衣です。物忘れをするのはお歳のせいかも。一説によると、かの「レレレのおじさん」のモデルがこの周利槃陀迦だとか・・・。そう言われれば、バカボンのパパの決まり文句が「これでいいのだ!」であることに納得されます。南無阿弥陀仏はある意味で「これでよいのだ!」ではないでしょうか。
先日お聞きしたのですが、周利槃陀迦が亡くなって埋葬され、その墓前から見た事のない植物が芽をだしのだそうです。周利槃陀迦が名が書かれた旗を担いでいた様子から「茗荷」となずけられたとか…
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■難陀(ナンダ)
お釈迦様の異母弟。仏陀出家後の皇太子になった。仏陀が成道の後、初めて故国に帰った三日目、難陀の結婚式だったが、仏陀は強いて出家させた。彼は非常に容姿端麗で仏陀と見間違えるほどだっが、生来、愛欲の心が強く、比丘となった難陀はそれを自制するのに苦心した。仏陀は彼を諸根調伏第一と褒め称えた。
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■阿難陀(アナンダ)
多聞第一の弟子。仏陀のいとこ。仏陀の晩年25年間、仏陀の侍者となってよく仕えた。この阿弥陀経の語り手とされる。
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■羅ごう羅(ラゴラ)
仏陀の実子。密行第一の弟子。
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■きょう梵波提(キョウボンハダイ)
舎利佛の弟子。解律第一。過去世の罪業によって500生の間、牛身をうけ、今世に人間に生まれてもなおその余習を残したという。仏陀の入滅を聞いて自身を焼いて入滅した。
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■賓頭廬頗羅堕(ヒンズルハラダ)
獅子吼第一とされる。仏滅後、衆生済度の命をうけた。この像をなでると病が治る。
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■迦留陀夷(カルダイ)
カピラヴァストゥ国の大臣の子で仏陀と同日に誕生したがその容姿が悪いため「黒きウダーイン」と名づけられた。仏陀成道のとき、使者となって仏陀を故郷にむかえ仏弟子となった。
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■摩訶劫賓那(マカコウヒンナ)
天文暦数に長じたから知星宿第一とされた弟子。クックタという辺国の王族の子。父に次いで即位。仏陀が祇園精舎におられると商人に聞き教えを仰ぐべく東に下り途中仏陀に出会い出家した。
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■薄拘羅
長寿第一。出家後、少欲知足の簡素な生活をなし無病にして長寿を保った。仏陀成道以前、コーサンビー国の資産家の家に生まれ、ある日ヤムナー川に水浴中、大魚に呑まれた。その魚がベナレスの長者の妻に買われ、彼は不思議に救われる。二人の婦人が互い実子であると主張し王は両家共有の子と裁定したため Ba-Kula と呼ばれた。
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■阿どう楼駄(アドロダ)
仏陀のいとこ。天眼第一の弟子。仏陀の説法中、居眠りをしていて為、何のために出家したと叱られた。以来、仏陀の面前では日夜眠らないことを誓い、ついに眼病にかかり失明する。これにより天眼を得る。
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■菩薩
仏となるための修行する求道者。
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■文殊師利法王子
仏の智慧を表わす菩薩。文殊菩薩のこと。
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■釈提桓因(しゃくだいかんいん)
帝釈天のこと。梵天とともに仏教の守護神として知られている。
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■欄楯
欄干のこと。極楽世界の寺院、宮殿の美しい囲い
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■羅網
美しい宝石で飾られた網。鈴をつけた網
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■行樹
ターラ樹の並木
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■四宝
金・銀・瑠璃・水晶の四つ。
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■七宝
金・銀・エメラルド・水晶・赤真珠・瑪瑙・琥珀
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■八功徳水
八種の特性をもつ水@澄淨A清冷B甘美C軽軟D潤沢E安和F飲むと利益がある G苦しみを除く
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■蓮華の話1
浄土には七つの宝の池があります。その中には様々な色をした蓮華の花が咲き乱れています。お浄土に咲く花だから調和しているのではなく、すべての色が調和し合える環境を「浄土」だと語られているのではないでしょうか。お釈迦様はお生まれになってすぐに「天上天下唯我独尊」とおっしゃられました。「この地球上で我(あなた)という存在は無二なる存在だからこそ尊いのだ」と。生まれながらにしてこの世にたった一つの個性を頂きながら、相手を自分と同化しようと苦しんでいるのが私たちの姿ではないでしょうか。赤い花は赤いまま輝き、白い花は白いまま輝き、そしてそれぞれが同じ場所で共存できるからこそ、そこを浄土と言えるのではないでしょうか。
■蓮華の話2
お釈迦様は蓮華がことのほかお好きだったと言われています。その理由の一つに、「不浄なる泥の中よりも清らかな花を咲かせる」からだそうです。いつでも自分の姿を見失わない信念が備わっているのでしょうね。加えて考えられることは、蓮華は与えられた場所こそが自分が咲き、やがて枯れていく場所であるという頷きがあるからではないでしょうか。外に幸せを求めず、与えられた場所で精一杯生きる姿が美しいとお釈迦さまはおっしゃっているのではないでしょうか。
■花の話1
赤い花は赤いままでよいのだよ。白い花は白いままでよいと、あるがままを受け入れることが大切なのだよ。と仰っています。赤い花の池から白い花の池に移ってきても、赤くなる必要なんかないんだよ。
■花の話2
真宗のお内仏には造花は用いません。私たちは花から命を学びます。枯れることのない造花からは命を学ぶことができません。「あなたっていつ見ても綺麗ね、まるで造花みたいよ」とは言いませんものね。
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■天楽
天の音楽。天には打たなくても自然になりだす楽器がある。「阿修羅の琴」
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■昼夜六時
一日を昼と夜に分け、それぞれを三時にわけた、初夜・中夜・後夜・日没・晨朝・日中 をいう。
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■曼荼羅華
天界に咲く不思議な花のことで、悦意華天妙華とも訳されている。その色は美しく、芳香を放ち、見る者を喜ばす花。6,7月ごろ実を結び、多葉な樹。
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■清旦
静かな朝。
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■衣こく
花を盛る器。
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■経行
休息すること。一定の場所を歩くこと。座禅の後、一定の場所を歩くことを経行(きんひん)という。*座禅で硬くなった体を解す目的だったのが少林寺拳法の始まりという説がある。
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■白鵠
鶴の一種。白鳥、または天鷲ともいう。
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■舎利鳥
人間の言葉を理解する鳥
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■迦陵頻伽
最も鳴き声が美しいとされる鳥
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■共命之鳥
二頭一身の鳥。顔は人間。体は一つでも頭は二つ。二つの頭はそれぞれ違う意識を持っています。それぞれが相手を憚らず身勝手な行動をとれば、ともに滅んでしまいます。私たちは自分の命を自分だけのものだと誤解しています。命は共有しているもの。私は「共なる命」をいただいている。そうお釈迦様は仰られておいでです。
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■五根
信根・精進根・念根・定根・慧根。根とは能力のことで悟りを得るための機根
■五力
信力・努力・憶念・定力・慧力
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■七菩提分
択法覚支(真実なものを見究める)。精進覚支(一心に専念、努力する)。喜覚支(教えを実践して喜ぶ)。軽安覚支(身を軽やかによい状態にする)。捨覚支(とらわれを捨てる)。定覚支(心を一つに集中する)。念覚支(おもいを平らかにして智慧を念ずる)。
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■八聖道
正見(正しく見る)。正思惟(正しく思考する)。正語(正しい言葉を発する)。正業(正しい行い)。正精進(正しい努力)。正命(正しい生活)。正念(正しい想念)。正定(心を落ち着かせ精神統一する)。
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■三悪趣
地獄・餓鬼・畜生。これに阿修羅・人間・天が加わったものが六道
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■法音
仏教の教えを説く声
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■変化所作
仏の不思議なる力で身を変える
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■阿僧祗劫
阿僧祗は10の140乗で「無数」の意。1劫も無限の時間を示す単位。1劫を説明するのに芥子劫、石劫などの譬がある。前者は40里四方の城に芥子を満たし、3年ごとに1粒を取り出してそのすべてを取りつくす時間。後者は、40里四方の大石を天人が3年ごとに舞い降りて、天衣で拭い大石が磨滅する期間。
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■声聞
お釈迦様の教えを受けた弟子
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■阿び跋致
不退、もしくは不退転と訳す。仏になることが定まっていて、菩薩の地位より退転しない位をいう。
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■一生補処
次の生涯には、必ず仏になることができる位
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■倶会一処
浄土という同一のところで会うことができる
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■阿しゅくび佛
不動仏とも呼ばれる。阿弥陀仏が西方浄土の教主であるのに対し、阿しゅくび佛は東方浄土(妙喜国)の教主とされる。また同じく東方で教えを説く仏として揚げられている須彌相仏・大須彌仏・須彌光仏は、インド人が想像した大宇宙、須彌山と関係のある仏である。
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■広長舌
仏には32の身体的特徴(三二相)がある。そのひとつが舌で、仏の説く事が真実にして虚妄でないことを表している。
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■大焔肩仏
焔肩は(炎のかたまり)の意。ここでは日・月・光・灯というように火や光に関係のある仏が出てくる。
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■恒河沙数諸仏
恒河はガンジス河のこと。ガンジス河の砂の数ほどの数の仏という意味
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■不可思議
疑わない・疑うことができない・あたりまえの私たちの想像(思い)を超えていること
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■宝相仏
宝相を持つ仏の意。
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■最勝音仏
すぐれた声を持っている仏
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■難沮仏
攻撃することができない仏
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■日生仏
太陽から生まれた仏
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■網明仏
光を放っている網を持っている仏
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■師子仏
仏は王であり、恐れるものがないので百獣の王と同様。
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■名聞仏
名声をもっている仏
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■名光仏
名誉ある光輝を持っている仏
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■達摩仏
梵語のダルマ(法と真理)が語源。法となずける仏
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■法幢仏
法のハタホコを持つ仏。
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■持法仏
法を持っている仏
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■梵音仏
梵は「きよらかさ」と訳される。梵音は天からくる清らかな音、梵天の声である。梵天は仏教の守護神の一つで欲界を離れた神。
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■宿王仏
星の王である仏
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■香上仏
かぐわしい匂いをはなつ仏
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■香光仏
香りの光をもつ仏
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■雑色宝華厳身仏
色とりどりの宝石の花で飾られた身の仏
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■沙羅樹王仏
沙羅樹の王と呼ばれている仏
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■宝華徳仏
宝石の蓮華のような美しさ、徳を備えた仏
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■見一切義仏
すべての意味を見ることができる仏
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■如須彌山仏
須彌山のように、大きく偉大な仏。
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■阿耨多羅三藐三菩提
梵語のアヌッタラ・サムヤクサンボーディの音写。無上正等正覚で、この上なく正しい覚り。
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■発願
願いをおこすこと。浄土に生まれたいと、心から願い、往生を願うこと。
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