BONZE
bodhimandala
【倶会一処】
(くえいっしょ)
[2000/03]

■お知らせ
この度、お坊さんの小話のサイトを新設することになりました。
パソコンは

http://www.0408.jp/

モバイル・ケイタイは

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(随時更新中です。)

 子どものころ、テレビの中で活躍していた人たちの訃報(ふほう)を最近よく聞くようになった。折りしも、この原稿を書いている時に、ドリフターズの元メンバーである荒井注さんの訃報を聞いた。
 「なんだバカヤロー」というギャグで、一世を風靡(ふうび)したその人である。後にも先にも相方や、メンバー以外の人を、まして画面のこちら側の人を罵倒(ばとう)して認められた芸人は、彼ぐらいであろう。
 例にもれず、ワイドショーはその告別式の様子を一部始終知らせてくれる。その中で、ドリフターズのリーダーいかりや長介さんの弔辞(ちょうじ)は秀逸(しゅういつ)であった。亡き友との人生を振り返りながら、友の人なりを語り、そして彼はこう述べた。「行くなとはいわない、だから気をつけて行け。ついたら場所を取っておいてくれ。オレも行かねばならないから。かならず」、そして一時の沈黙の後「いずれまた……」、そう締めくくった。
 亡き人の冥福を祈る弔辞は数多くある。仕事がら、そういう弔辞はよく耳にする。そのどれもが、私は生きている、あなたは死んでいるという、生と死を分けた処(ところ)に立っているものである。生きている私が、死んでゆくあなたを送るのだという。
 いかりやさんの弔辞は、あきらかにそれらとは一線を画していた。そこにあるのは、人間の無常さを感じとり、自分もまた死んでゆかねばならない身であるという事実を、しっかりと受けとめている姿であった。死してなを、大切な友人と会いたい。いや、会わねばならないという堅い決意がそこにある。それは、生前のふたりの関係がどういうものであったのか、人間同士として、どういうつながりであったのかを、おのずと知らせてくれる。
 私たちは、かならず行かねばならない場所を、ちゃんと見据えて生きているだろうか。そして、その場所で切にまた会いたいと思えるほどの愛情や友情で結ばれた人間関係を持っているだろうか。「かならず」と誓い、「いずれまた」としめくくれる。

合掌
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